カッター拭くから大丈夫

知らない子供二人をタクシーに乗せる。運転手に紹介状を渡し「これでよろしく」そう言ってその場を離れた。紹介状の内容も、子供の行き先も知らない。 適当に入ったバーのカウンターでサンドイッチをオーダーし、カッターナイフで半分に切った。隣に座ってい…

人間卒業式

人間卒業式に出席することになったため、慌てて家中の白いものを身につけて準備していた。 [2011年11月12日の夢] ーーーーーーーーーーーー 私は去年、上海から台北に引っ越して来た。だいたいのことには慣れたけど、今でも「なんだこれ」と思っていること…

電車製の街

電車で来ることができる最も遠い場所、と言われている「果ての地」にやってきた。ここでしばらく暮らそうと考えての事だったが、私はこの土地についてほとんど何も知らなかった。私だけでなく、ここに来るすべての人がそうだった。そもそもの情報量からして…

尊大な魚

私は中学生で、友達のロッカーの使い方にブチ切れていた。「何そのしまい方」「別にいいじゃん」と互いに怒鳴りあった。しばらくして怒りが冷め、気まずいなと思っていると友達が画用紙を持ってこちらを見ている。画用紙には「温かいからあげ」と書いてあっ…

幽霊VSビッグブラック

友人と山中の人里を車で走っていた。信号待ちをしていると、真横に真っ暗な家が見えた。「火事で一家全員が焼け死んだ家だよ」と運転する友人が教えてくれた。 ちょうどその時、人がどこからともなく現れ、真っ暗な家に入っていった。入り口を通る時に、そこ…

ある施設からの脱出(2)

(1の続き) 友人が本当に工作をしたか、したとしてそれがどういったものかはわからないが、翌朝、施設の人間が現れ私を出してくれた。指定されたバスに一人で乗り込む。座席に座る私の目の前には、小柄な女が一人立っていた。彼女はこちらをじっと見つめた…

ある施設からの脱出(1)

「まもなくここに洪水が起きる」と友人が言った。ダムと川に挟まれたこの町に水の逃げ場はなく、たくさんの人が死ぬだろうと訴えるのだ。私たちは計3人で逃げることにした。 一人が浮き輪を用意してくれたので、借りる。それを身につけた途端水が胸元まで押…

仏教がいかに反社会的でやばくてかっこいいか

日本が荒廃した。文化は弾圧され、本の売買が禁止された。中でも仏教は特に禁忌とされたが、高齢者を中心に密かに楽しまれていた。 本の闇市場に行くと、ヤクザが仏教関係の本を売りさばいていた。私はどうしても「おんころころせんだり狂気の謎」が読みたか…

来た道を逆に進むと戻ることができるのはなぜか

私はいつものように電車に乗って、四角い畳の部屋にやって来た。座布団がたくさん敷かれた部屋には、パジャマを着た男女が大勢座ってがやがやしている。窓からは中へ入れない人が数人覗き込んでいた。私たちはストレッチをして、来た道を逆に進むと戻ること…

無性生殖した話

頭の中で組み立てた遺伝情報を体内から卵子に送る方法で妊娠してしまった。無性生殖ではあるが、遺伝情報を新しく組み立てているのでクローンにはならない。 この世界では時たまそういうことが起きるが、あまり喜ばしいこととはされていなかった。思考を自…

なにが怖いかパネル

薄暗い部屋のベッドに横になり、壁のパネル相手に喋っていた。パネルに浮かぶ文字に声で返すのだ。パネルが聞く。「普通のことが怖いですか、普通と違う事が怖いですか」。普通の基準がわからないと答えると「あなたは知らないものを怖れる」と表示され、続…

アヒルなんかどうでもいいや

「今年の11月は2週目に118日と110日があって、ということは今日は節分だね」。我々は二手に分かれて豆をぶつけ合った。こちらは3人なのに向こうは20人くらいいたため、ぶつけられる量がすごかった。 その後通りを歩いていると、白いヒゲの男がアヒルを3匹引…

やはり海は嫌いだ(2)

(1の続き)外に出て、バスに乗る。そこはタイの南部だった。洪水の様子はなかった。(※当時タイでは現実に大規模な洪水があった)バンコクに行くか迷いながらバスに揺られる。窓からは、ガネーシャ、仏陀、キリストといった具合に様々な「神」を祀る祭壇が…

やはり海は嫌いだ(1)

友人のプロジェクトにつきあうためラオスに行くことになった。しかし世界は配列を変え時空的に歪んでしまい、物理的な方法ではたどり着けない。いろんな場所へ流れるように飛ぶ。一冊のノートから九州へ。九州から南へ、北へ。植物だらけの道を歩く。葉の巨…

イタリアランドの思い出

イタリアランドというテーマパークに行った。知ってる場所がつなぎ合わされた世界で、こことここがつながっているのか、と探索していたら、見つけることができた。乗り物は有料だが、入場は無料らしい。なのですごく混んでいた。何に並んでいるかわからない…

虚像の家族

私はある田舎の倉庫で働いていた。あたりは農園で、店といえばチーズと缶詰と油と酒を売る小さな商店があるくらいの農村に位置していた。昼の休憩時間にその商店で買ったチーズを食べて煙草を吸うのが私のささやかな楽しみだった。ある日の休憩中、いつもの…

地中は日が当たらない

角度によって見え方が変わる厚紙を使ったモザイク立体画の展示を見に行った。正面から見ると女性の顔だが横から見ると街の景色が見えるといった感じのものだ。夢中になって見ていたが、ふと隣に力士がいることに気がついた。私は力士に「向こうにあなたを描…

ともに生きる

線状に広がる世界の番人だが、ふだんは鹿・やぎ・羊を連れ人を引き車で運ぶことを生業にする男がおり、その日も人を運んでいたがとつぜん気が狂い、俺はやっぱり運ぶのをやめる、勝手に行けばいい、何も信じたくなくなった、鹿とやぎと羊とともに生きると言…

人を殺したので見てほしい

私は知らない男性の運転する車に乗り、山奥の道を進んでいました。知らない男性は、自分のことを私の恋人だと言うのです。そして、人を殺したので見てほしいと、こちらを見ずに告げました。私は怯えきっていました。山道の交差点のような場所に死体はありま…

ホタルイカ液の命乞い

ウォッシャー液から細かいホタルイカが飛び出す車に乗った。走っていると少し開いた窓から色とりどりのホタルイカが飛び込んできて、窓ガラスの端に張り付いた。赤と緑とピンクのホタルイカがならんでこっちを見ていて、私は外に出すためにコップですくおう…

独裁者金太郎

独裁者金太郎は斧を担ぎおかっぱ頭で手ぬぐいの様な前掛けをしていた。独裁者金太郎は冷淡で残忍だった。「あなた方の有能な兄に対する様に私に慕い従いなさい」と独裁者金太郎は斧をふるい語った。独裁者金太郎にも従わない者がいた。かよちゃんである。独…

シナモン判定

手のひらサイズのフクロウと生活していた。とても懐いていて、私の膝の上でうつ伏せになって眠るのが好きだった。フクロウはこの世界の歴史を映像で見せてくれた。言葉や文字ができていく過程を楽しく理解することができた。昔のような村社会だったらお前は…

土も食えない

近未来の日本では土地という土地が墓で埋め尽くされそのほかの区画も非常に小さくなっていて、家を建てる場合は、既にある建物から突き出すように作る。もし土地を使うと墓をたくさん潰すことになり、大勢の子孫に賠償しなければならなくなる。 私は植物が…

牛人間の祭

時間と空間の操作によっていろんな場所の古い文化をディスクにデータ化し保存したところ、各データの中で時間が進んでしまった。保存された文化はほかの文化との交わりや淘汰なしに、閉ざされた空間で独自の進化を遂げていた。あるデータの中ではミノタウロ…

子供たちの御本尊

二メートルほどの台の上に母親の亡骸を横たえながら少年が「いまや彼女の事を見つめるものは誰でもなく全ての人である上(かみ)の様、ただ一人であり全ての」と呟き、また別の少年は「枯葉、生きざまと死、死にたい」と叫び繰り返し閉じた扉にぶつかり続け…

小菊たちもこうきちんと扱う事で自我を持ちます

ある原始的な生活を送る村はかつて集団失踪事件があったという。未解決のその事件の謎を解き明かすために、村人たちの集合的無意識を解析する調査が行われた。結果はある何かの記号。誰もその意味はわからないという。 そこで私は試しに、ユリの蕾をひっく…

猫人間と性産業

書物から書物へと日本の歴史を辿るうちに、ある絵巻物の世界に入りこんでしまった。墨で描かれた猫が何百匹といる。何もないところから声が響き「猫の耳の位置と形に真実を聞き取り幸福をもたらす性質があるということがわかり、人々は猫の耳をつける様になっ…

幼児退行エレベーター

大きな建物にホテルといくつかの商店が入っていて、私はそのホテルの一室に閉じ込められた。部屋にはほかに誰もいなかったが、私は「精神薄弱者と暮らさなければならないなんて、あんまりだ」と強く思っていた。ベッドの端が乱れていて、それを狂人のしわざ…

バーチャル宿ガイド

タイバンコク旅行ツアーに参加することになった。ツアーだが宿は自分たちで探さないといけない。私は一緒に参加する友人と2人で泊まる部屋を、バーチャル宿ガイドで調べることにした。 バンコク市街の映像データの中に入り込み、宿のひとつひとつを見ていく…

記憶の書斎

大きくゴージャスな書斎をあさっていた。暖炉の石をさわったり。そこにあるすべてに何らかの記憶が閉じ込めてあるため、ひとつひとつの内容を確かめようというわけ。 [2016年4月4日の夢]ーーーーーーーーーーーーーーーこのブログを始めてから、リアルタイム…