イタリアランドの思い出

イタリアランドというテーマパークに行った。知ってる場所がつなぎ合わされた世界で、こことここがつながっているのか、と探索していたら、見つけることができた。乗り物は有料だが、入場は無料らしい。なのですごく混んでいた。何に並んでいるかわからない列に並んだ。列を進みながら辺りを眺めた。ステージでは溌剌とした男女がマルゲリータピザを食べる出し物をしていた。その脇には暇そうに座っている、ショーの衣装を着た若い女、後ろに麦畑がきらきらと輝いて、物憂げな表情によくあっている。出し物には出ず、このままこうして座っていて欲しいと思った。

たくさんの人がピザを食べている。外のテーブルに腰かけ、配られるピザを楽しんでいた。係の者が、配るピザの種類を紹介するボードを掲げていた。少年が掲げていたのはフルーツのカルツォーネ。具はパインやいちごといったカットフルーツ、ソースはカスタードクリームらしい。別の店ではハムとチーズのカルツォーネ。進んでも進んでも、カルツォーネばかりだ。今カルツォーネは全然食べたくない。薄い生地のマルゲリータが食べたい。でもマルゲリータは舞台でしか食べられていないようだった。

行列の先は出口だった。人々は満足して帰っていく。私はその波にはのれず、出口との狭間に迷い込んでしまった。仕方なく文房具をコレクションする会社を見学した。文房具を集めて、並べて、使う。使えなくなるまで使って、捨てて、また新たに集めるらしい。そこで働く人と話し、こういう人生もあるんだと思った。その人が帰るための電車を呼んでくれた。そこでの電車は、自分で操作して車両を呼び込む必要があるとのこと。いくつもの扉が並ぶ、電車の中のような細長い空間を歩く。彼が扉の一つの前で立ち止まる。操作パネルやレバーを弄ると、電車が扉のむこうにやってきた。気をつけて、とその人が言って、私はもうこの人に会うことはないだろうな、でも大切に思うことはできる。と考えながらさよならを言った。

2018122日の夢]


イタリアに住んでいた時、現地の人に「カルツォーネを食べたことがない」と明かしたところ、それは大変だ、今すぐ食べたほうがいい、とそのままレストランへ連れていってもらったことがある。

カルツォーネとは餃子みたいに折りたたまれて焼かれたピザで、とにかくボリュームがある。ローマのカルツォーネはとてもおいしかったが、食べきるのに大変苦労した。そのせいか手ごわい印象を持っているのかもしれない。気負わずにカルツォーネを食べられるようになりたい。

カルツォーネを知らなかったら、こんな夢はみなかったと思う。夢には、現実で得た知識や体験、感情が影響している。当たり前だけど、日々リアルな夢をみて詳しく思い返していると、こうしたことが手応えとして強く感じられる。私は日々意図せず夢に体験を食べさせていて、それに対応するように夢の世界が拡張していく。そんなイメージが如実にある。