独裁者金太郎

独裁者金太郎は斧を担ぎおかっぱ頭で手ぬぐいの様な前掛けをしていた。独裁者金太郎は冷淡で残忍だった。「あなた方の有能な兄に対する様に私に慕い従いなさい」と独裁者金太郎は斧をふるい語った。


独裁者金太郎にも従わない者がいた。かよちゃんである。独裁者金太郎はかよちゃんに恋をした。かよちゃんは独裁者金太郎と同じおかっぱ頭である。しかしのっぺらぼうであった。そのため独裁者金太郎になびく事はなかった。


独裁者金太郎は絶望し、女装をするようになった。髪を長く伸ばし、おかっぱ頭ではなくなった。独裁者ではなくなった金太郎にかよちゃんは言った。「バンドやらない?」 


——という内容の漫画を読んだ。私はいたく感動した。タイトルをみると「けいおん!」と書かれていた。けいおん!のアニメはみたことがなかったが、こんな話だったんだな、と一緒にいた友人に話した。その後私は仕事、友人は所用のため、二人で駅に向かった。


駅に着くと友人が改札の駅員を指し「あそこに一日中座り人々の精神をながめる変質者だ。しかし人々は彼のことを先生というんだ」と苦い顔で言った。しかし私はけいおん!の漫画のことで頭がいっぱいだったのでどうでもよかった。


友人と別れ、職場に着いた。仕事はある中学生の子供の世話で、主に護衛や執事のような役回りをするというものだった。彼女はその日、二人組の男性と会う用があるから着いて来て欲しいと言った。


私は待ち合わせ場所に連れていったが、そこに二人組の男はいなかった。いないようだと言うと彼女はあれがおそらくそうだ、と指差した。見ると一人の男と一匹の猿が並んで座っていた。あれは二人組の男性ではなく一人の男性と一匹の猿だ、と私は言ったのだが、彼女は納得しなかった。私はとりあえず危険だから様子を見るように彼女を説得し、バスに乗せた。町を一周するまでに、何度も男と猿が景色に現れた。どうやって移動しているのか知らないが、我々に見せつけているようだった。しかも現れる場所場所で曲芸のようなものをして人々の気を引いている。恐ろしい奴らだ、と思った。

20111226日の夢]


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夢の中で小説や漫画、映画、音楽などの創作物を読んだりみたりして、大いに感動することがよくある。

今回の夢に出てきた漫画は多分、童話の「金太郎」、小説「1984年」、アニメ「けいおん!」が混ざっているのだと思う。この中で「けいおん!」は一度もみたことがない。けど、夢の中では「けいおん!」だとする漫画を読んでいたく感動した。

とはいえ感動するという夢をみているだけで実際はそんなにすごい内容でもないので、起きてから思い出してもちっとも感動できないことがほとんどだ。

先日、夢の中で「トマトは人生。気づいた時には潰れてる」という言葉が出てきた。起きがけに寝ぼけた頭でこれを反芻して、なんてすごい言葉なんだ!と身震いし、忘れないようにしなければと強く思った。でも思い返すと全然そんなことない。むしろ暗すぎて自分で自分が心配になるレベルである。