地中は日が当たらない

角度によって見え方が変わる厚紙を使ったモザイク立体画の展示を見に行った。正面から見ると女性の顔だが横から見ると街の景色が見えるといった感じのものだ。

夢中になって見ていたが、ふと隣に力士がいることに気がついた。私は力士に「向こうにあなたを描いた立体画がありましたよ」と言った。気の利いた挨拶がわりのつもりだったが、力士は黙って何もない壁を睨んでいた。私は何て冗談が通じないんだと腹が立ち、でまかせに「入口の近くでしたよ」と言った。力士は入口の方へ戻っていった。

しばらくして気になった私はやはり入口に向かった。入口は閉館時間が近いため封鎖されていたが、力士はどこにもいなかった。ふと足下を見ると、作品が乱雑に立て掛けてある。一つは牢に入れられ作品を作り続ける囚人の姿を描いたもの。囚人の顔はのっぺらぼうの中心に一つの点があるだけだ。もう一つは、板に貼り付けられた袋の絵に「地中は日が当たらない」と書かれていた。ほかにも陰気な作品がたくさんある。どうやらこれらは、これまでギャラリーの隙間に消えていった人たちの変わり果てた姿であるらしい。力士はどの作品になったのだろうか。探してみようかとも思ったが、そこまで興味があるわけでもないことに気がついて、やめた。

帰宅すると飼っている犬や猫の反応が違っていた。異変を感じるのか、何かを訴えながらまとわりつくのだった。弟はそれを見て炭素的に汚いのだと言う。私も作品になりかけているのかもしれないな、とそれを聞いて思った。

2011106日の夢]


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私はあまり怒りっぽくない方だと自認しているが、夢の中ではよくなんでもないことで怒っているので不思議に感じる。

夢の中での自分の行動について考えるほど馬鹿馬鹿しい事はないようにも思うが、自我がはっきりした、思考や感情が存在する夢において、普段と違った感じ方や考え方をしていることがとても興味深いと思う。

怒りっぽくなる以外に、サイコパス化する夢もある。人の感情が読み取れず、反社会的な言動をするといったものだ。夢なのだからなんでもないことのようにも思うが、その夢の中では自分なりに意識して行っていることなので、そう単純に割り切れる気もしない。

ただサイコパス化については、サイコパス化した自分に対して非サイコパスな反応をする社会、というものが出てきたりもする。詳しくは知らないが、本物のサイコパスの人の夢にはこういったものは出てこないのではないだろうか。サイコパスの人の夢ってどんなものなのか、知りたいです。