シナモン判定
手のひらサイズのフクロウと生活していた。とても懐いていて、私の膝の上でうつ伏せになって眠るのが好きだった。
フクロウはこの世界の歴史を映像で見せてくれた。言葉や文字ができていく過程を楽しく理解することができた。昔のような村社会だったらお前は力がないので家から出られないだろう、とフクロウに言われた。
私は墓の谷の食堂に食事をしに出かけた。トーストとアイスクリームを注文した。のせて食べたらおいしそうだと思ったからだ。運んでくれたのは長い髪の綺麗な女性で、テーブルにトーストとアイスクリームを並べると、最後に頼んでいないシナモンシュガーを置いた。
「私、シナモンって大好き!…あなたは?」「好きです」「私ね、シナモン判定で一番のシナモン好きに認定されたの。あなたも好きならやってみて」
女性は目の前の席に腰掛け、両手で頬杖をつき嬉しそうに笑った。「じゃあ始めるね」
一、何にでもシナモンをかけますか
もちろんいいえだ。これで満点ではなくなってしまった。彼女は満点だったのだろうか。そんなことを考えているうちに気づけば全ての問いが終わっていた。シナモン判定は不合格で、私はアイスクリームもシナモンシュガーも没収され、ただのトーストをかじった。
[2011年12月23日の夢]
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創作物では、夢か現実か確かめるために頬をつねってみる、というシーンが度々ある。痛かったら現実、痛くなければ夢というわけだ。
私は夢の中でも痛みを感じるので、この判定法はあてにならない。また痛みがあるだけでなく、色や音に、味の感覚も存在する。二メートル四方の大きさの弁当を食べる夢をみていた時には、あまりのおいしさに驚いた。
このように私は夢で多くの快楽を味わえるので、寝てさえいればだいたい幸せなのかもしれない。